フリーランスになりたての頃、僕は15万円の仕事を5万で受けたことがあります。
報酬は3分の1ですので、とても割に合わないと思っていました。
なぜ僕がそこまで安い単価で仕事を受けてしまったのか、フリーランスで10年以上経過した今の僕ならどうしていたか、そんなリアルなお話をしたいと思います。
どうにかして仕事を取ってくるような時代
僕がフリーランスとして活動し始めたのは、今からおよそ10年くらい前です。
その頃は、今みたいにクラウドソーシングなどの便利なサービスは殆どなく、自分自身でどうにかして仕事を取ってくるしかないような時代でした。
とは言うものの、僕は営業が苦手な人間なので、今まで一度も営業をかけたことはありません。
当時の5万円は15万円くらいの価値があった
僕は当時、WEB制作業としてデザインやコーディング等の仕事をしていました。
何のコネもなくフリーランスになった為、初めのうちは仕事の依頼が全くこず途方に暮れていました。
そして、初めての仕事は、とあるWEBサービスを通じて「たまたま貰えたお仕事」でした。
お客様に要望を聞いて見積もりを出してみると、約15万円くらいかかる案件でした。
しかし、お客様の希望額は5万円。15万円の3分の1…
厳しいです。。
このままお見積りを出そうか迷いましたが、一度冷静になり検討することにしました。
結果的に「5万円」で受けることに決めました。
その理由は主に以下の通りです。
5万円で受けた理由
- 無収入を打破したかった
- 次の仕事に繋がりそうな予感がした
- お客様が良い人だった
無収入を打破したかった
フリーランスになる前に多少なりとも貯蓄はあったため、すぐに死活問題になるようなことはありませんでしたが、ひと月に1本も仕事が入らず無収入になるのは良くないと思いました。
フリーランスなので、収入は一般的なサラリーマンに比べると不安定だとは思います。
しかし、だからといって「そういう月(無収入)があっても仕方がない」と思ってしまうのは違います。
むしろ逆でどうにかして少しでも売上を上げなきゃ!と思うことが大切です。
次の仕事に繋がりそうな予感がした
実は仕事内容は新しいもので、初めてやる案件でした。
しかし、興味があったという点と次に活かせそうな仕事ということで、やってみようと決意しました。
このあたりも仕事を受ける際のポイントになると思います。
お客様が良い人だった
やっぱり最終的にはこれに尽きます。
いくらお客様といっても「人対人」ですから、人間性だったり相性なども重要です。
フリーランスになりたての頃は、あまり気にしていませんでしたが、現在はこの部分を一番に見るように心がけています。
いくら単価の高いお仕事の依頼を頂けそうだった場合でも、常識がない人だったり、横柄な態度を取るような方とは、仕事をしないようにしています。
5万円で受けた結果どうなったか
安く受けたのは自分の都合ですから、クオリティは落とさず5万円で15万円分の仕事をしました。
その結果、お客様には思った以上の高評価をいただけて満足してもらえました。
僕も良い経験ができてWin-Winの関係で終えることができました。
本当に良かった。
3分の1の報酬はかなり迷いましたし、納品するまで大変でしたが仕事を受けたかいがありました。
そのお客様には、後日別の仕事も発注いただけました。
こんなに上手くいくことは滅多にないことかもしれませんが、こういったお客様に巡り会えると「また頑張ろう!」って思えます。
今の自分ならどうしていたか
さて、僕はフリーランスになってから約10年が経過しました。
これまでお話した内容を自分自身で振り返って、思うこと、感じたことをお話します。
今の自分/15万円の仕事を5万円で受ける?
おそらく受けません。
理由は以下の通りです。
- お客様からの問い合わせの数
- 安売りのデメリット
以降で、詳しくお話します。
お客様からの問い合わせの数
フリーランスとして独立した頃に比べ、サイトやブログで集客できているため、定期的にお問い合わせを頂けるようになりました。
その結果、どうなったのかというと、言葉は悪いかもしれませんが「お客様を選べる」ようになりました。
前項でお話した通り、人間性だったり相性の部分ですね。
安売りのデメリット
当時の僕は「15万円の仕事を5万円」で受けました。
その時は、とても清々しい気持ちで仕事を終えることができましたが、後日新たな仕事を依頼してもらった時も、安い料金で仕事を受けなくてはいけなくなりました。
普通に考えてそうなりますよね。
初めの仕事を3分の1の料金で受注したのに、二回目の依頼から3倍の料金になってしまったら、お客様は不信感しかありません。
一度安くしてしまったら、そのお客様にはその料金が基本ベースとなってしまいますから、長期的にお付き合いすることができなくなってしまいます。
安くしてしまったことで、自分の首を締めてしまった瞬間でもありました。
安売りは自分自身の価値を下げる
価格競争の時代の中、安くすることは当たり前のようになっていますが、「安くする=自分自身の価値を下げる」ということに繋がってしまうのではないかと感じています。
クラウドソーシングなどのサービスをみると、考えられないほど安価に商品を販売している人がいますが、本来スキルや技術を安売りするべきではありません。
ただ、お客様はどうしても安いほうに目がいってしまいがちなので、仕方なく出品者は安くせざるを得ない・・
そうなるとどんどん市場自体が安価になってしまい、全体的にバランスを取ることが難しくなってしまう気がします。
お客様側が「そのくらいの料金で依頼できるのか」と思われてしまうと、それがベースとなってしまい、フリーランスとして活動する人にとっては、働きづらい環境になってしまう恐れがあります。
お客様は神様という時代は終わった
よく昔から「お客様は神様だ!」なんて言われてきましたが、現代は違うような気がします。
たしかに、根本的な考えは変わりません。お客様がいてくれることでどんな仕事も成り立つわけですから、お客様はとても大切な存在です。
しかし、一昔前と比べて情報社会になり、「誰でも簡単に情報を収集できる時代」になりました。
その結果、お客様はいくらでも発注先を選ぶことができるようになったんです。
「選ぶ=比較」ですから、お客様(発注側)は、受注側をないがしろにするケースもあります。
例えば、僕がおこなうWEB制作業では、相見積もりも当たり前ですし、あと一歩で契約という場面で音信不通になったお客様も沢山います。
見積りを出すのもけっこう時間のかかることだし、契約間近でドタキャンされるのも厳しいですよね。それまでの時間を返してほしいくらいです。
おそらくですが、別でもっと良い条件の発注先を見つけたということでしょう。
もちろん、上記のようなお客様だけではありません。
しっかりと丁寧に対応してくださるお客様もいらっしゃいます。
そういったお客様の場合は、最後まで良い関係を築くことができますし、仮にお断りされたとしても気持ちよく終えることができます。
まとめ
今回は「フリーランスで初めての仕事・15万を5万円で受けました。」というテーマで、僕がフリーランスになった当時のお話をさせて頂きました。
10年前と現在とでは、様々なことが変わりました。
同時に僕がフリーランスとして仕事をおこなう上での、気持ちや考え方も変わったと思います。
しかし、ずっと変わらないものもあります。
それは、以下のようなことです。
- 自分自身の価値を下げないようにする
- 向上心を忘れないようにする
- 自由な時間を楽しむようにする
本記事でも取り上げたように、初めの仕事以降は「自分自身の価値を下げる」ような言動は、出来る限りおこなわないようにしています。(例えば安価で仕事を受けるなど)
また、現状に満足せず向上心を持つことはとても大切です。
このあたりは、また別の記事でお話できたらと思います。